先月10月21日(火)早朝、第19回ショパン・コンクールの最終結果が発表され、桑原志織さんが第4位に入賞しました!

前回に続いて、日本人による入賞となりました。おめでとうございます。
また、同じく本選に進んだ進藤実優さんは、惜しくも入賞を逃しました。
優勝は、2015年の第17回で4位に入賞し、すでにピアニストとして活躍しているアメリカ出身のエリック・ルーさんでした。
今回は過去最高となる600人以上のピアニストが応募し、3回の予選を経て日本人2人を含む11人が本選に進みました。

ショパン・コンクールの正式名称は、ショパン国際ピアノコンクールで、1927年から行われ、5年に1度開かれる若手ピアニストの登竜門です。
”若手ピアニストの”というのは、コンクール出場資格には16歳以上30歳以下の年齢制限があるからです。
課題曲は全てショパンの作品からなるピアノコンクールで、ショパンの生まれ故郷ポーランドのワルシャワで開かれます。
2025年ショパン国際ピアノコンクールは、審査は1次から本選まで全4回、18日間にわたって行われました。
- 開会記念コンサート: 10月 2日
- 第1次予選: 10月 3日~10月 7日
- 第2次予選: 10月 9日~10月12日
- 第3次予選: 10月14日~10月16日
- 本選: 10月18日~10月20日
- 受賞者披露演奏会: 10月21日~10月23日
(本選会場: ポーランド国立ワルシャワ・フィルハーモニー)
前回の2021年第18回では、コロナ禍の影響で1年延期されましたが、反田恭平さんが日本人最高位の2位、小林愛実さんが4位となりました。
これまで毎回のように日本人も本選に進み、中村紘子(第4位)、内田光子(第2位)をはじめ、多くのピアニストが入賞していますが、残念ながら日本人の優勝者は出ていません。
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ちなみにこれまでの優勝者で、世界的に有名なピアニストとその出身国を挙げると次のようになるでしょうか。
優勝者
第 6回(1960年)マウリツィオ・ポリーニ(イタリア)
第 7回(1965年)マルタ・アルゲリッチ(アルセンチン)
第10回(1980年)ダン・タイ・ソン(ベトナム)
第11回(1985年)スタニスラフ・ブーニン(ロシア)
第14回(2000年)ユンディ・リ(中国)
第15回(2005年)ラファウ・ブレハッチ(ポーランド)
第17回(2015年)チョ・ソンジン(韓国)
第18回(2021年)ブルース・シャオユー・リウ(カナダ)
*ピアニスト、指揮者として有名なウラディーミル・アシュケナージは、第5回(1955年)で2位でした。

100年近い歴史を持つ世界的なコンクールですから、エピソードにも事欠きません。
*1960年の第6回の優勝者マウリツィオ・ポリーニについては、審査委員長アーサー・ルービンシュタインが「この少年は、ここにいる審査員の誰よりもうまい」と言ったといわれています。ポリーニは、史上最年少の18歳にして審査員満場一致で優勝を果たしました。
*1980年の第10回では、第7回の優勝者で審査員を務めていたアルゲリッチが、参加者のイーヴォ・ポゴレリチが本選に進めなかったことに抗議し、審査員を辞退しました。その際「だって彼は天才よ!」という一言を残したとされています。
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コンクールのステージに上がるまで、毎日懸命に課題曲に取り組み、緊張感の中で演奏するピアニストたちのひたむきな姿は、多くの作家や映画監督を惹きつけてきました。コンクールに挑戦するピアニストたちを描いた映画を、皆さんもご覧になったことがあるのではないでしょうか。
*蜜蜂と遠雷(2019年公開)ー 直木賞と本屋大賞をダブル受賞した恩田陸の小説を原作とする映画で、国際ピアノコンクールに挑む若きピアニストたちを描いています。
出演は、松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィンなどです。
*ピアノフォルテー 2025年9月26日から公開されている、前回の第18回ショパン国際ピアノコンクールのドキュメンタリー映画です。実際にコンクールに出場した6人の姿とコンクールの舞台裏まで映し出している映画です。
*ピアノの森(2007年公開)ー 一色まこと原作のコミックをアニメーションにした作品。森に捨てられたピアノを弾いてきた少年が、やがてショパン・コンクールに挑戦することになるまでを描いています。

私も、このショパン国際ピアノコンクールの優勝者が来日した際に、そのコンサートに行ったことがあります。
①チョ・ソンジン
第17回(2015年)の優勝者で、コンクールの後数ヶ月で来日した時のコンサートで、21歳の若きピアニストはとても初々しくまぶしいほどでした。
2016年1月22日、彩の国さいたま芸術劇場で行われましたが、アンコールの際、「長い曲でもいいですか?」と満員の聴衆に問いかけて、割れるような拍手に応えてアンコール曲を弾いた姿は忘れられません。

②ラファウ・ブレハッチ
第15回(2005年)の優勝者で、マズルカ賞、ソナタ賞などの特別賞の全賞を同時受賞するという快挙を成し遂げました。
2018年3月29日、東京オペラシティコンサートホールに現れた彼は、まさに「ショパン」と言った風貌をしていました。繊細で澄んだ響きがいつまでも心に残る演奏でした。
私は、演奏が終わると駆け足でホールを出て、サイン会の列に並びました。
若きピアニストたちが競うショパン・コンクールは、まさにピアノのワールドカップ(W杯)と言えるかもしれません。
参考文献:月刊「ショパン 12」(2015年12月)株式会社ハンナ
:サラサーテ12月号増刊「第17回ショパン国際ピアノコンクール全記録」(株)せきれい社
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