先日、受験競争の厳しいお隣りの韓国で、11月14日に行われた大学入試の統一試験・修能をめぐるエピソードがニュースで紹介されていました。
その試験は正式には「大学修学能力試験」と言い、”人生を左右する”とも言われる大切な試験で、通称「修能(スヌン)」と呼ばれているそうです。日本の「大学入学共通テスト」のようなものでしょうか。
韓国の受験生はこのテストに集中するために、メロディが頭から離れない曲は「修能(スヌン)禁止曲」と呼び、試験の終了まで聴くことを避けるというのです。
確かに、何かの拍子に頭の中で何度も同じメロディが鳴り響くことは、誰でも経験することではないでしょうか。
私の最近の「スヌン禁止曲」は、製薬会社のCMで流れてくる
♪ ア~リナミンナ イトリカバーは明日のために飲 む栄養 ♪
というメロディーです。
耳に残るこのメロディ、実はノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーグの劇音楽「ペール・ギュント」第一組曲の「朝」のメロディを、テンポを速くして替え歌にしたものです。元の曲は、ゆったりとしたテンポで穏やかな朝の情景を奏でています。
「HOME」でも、テンポを変えると全く別の曲に聞こえると書きましたが、これもその一例です。
2番目の「スヌン禁止曲」は、「キューピー3分クッキング」で流れてくる軽やかなメロディです。
この曲は、ドイツのレオン・イエッセルが作曲した「おもちゃの兵隊の観兵式」あるいは「おもちゃの兵隊のマーチ」と呼ばれている曲です。もとはピアノの独奏曲として作られ、後に管弦楽用に編曲されたものとか。単純だけれど、軽快でどこかユーモラスな耳に残るメロディが、3分間で料理が完成する(!?)、ような気にさせてくれます。
最後は、体がふわりと宙に浮かぶようなメロディの後、
~ ありがとう、 いーぃ薬です ~
というあのセリフで終わる胃薬のCM。
これは、ショパン作曲 のピアノ曲「24の前奏曲」の中の「第7番 イ長調」です。わずか1分足らずの短い曲ですが、重い胃もたれが一瞬で消えてしまう魔法のような曲です。何度聞いても体が軽くなる「禁止曲」でしょう。
あっ、どうやらお風呂が沸いたようなので、この辺で話を切り上げることにしましょう。
このメロディが流れると、親切な給湯器は「お風呂が沸きました」と知らせてくれるのです。
これは、ドイツの作曲家テオドール・エステンのピアノ曲「人形の夢と目覚め」から採られたものです。
私が小学生の頃、大きなホールで開かれたピアノの発表会で小さな女の子がこの曲を弾いたとき、ホール全体がお風呂場になり、思わず「あっ、お風呂の音楽だ!」と声を出してしまったことを覚えています。