🎹ピアノ1台でオーケストラ🎻🪈🥁🎺
1720年ころ、イタリアのバルトロメオ・クリストフォリによって発明されたピアノは、「楽器の王様」とも言われています。
なぜそのように呼ばれるのでしょうか?
楽器の演奏を学ぶとき、その楽器の成り立ちや構造など、その特徴を捉えることは決して無駄なことではありません。むしろ、とても大切なことではないでしょうか。今回は、そのピアノの際立った特徴について考えてみたいと思います。
まず第一に、「ピアノ1台でオーケストラ」ということです。
現在のピアノの鍵盤は、白鍵52個黒鍵36個で計88鍵です。実は、この88鍵でオーケストラの楽器の音域をすべてカバーしているのです。
ピアノの鍵盤に、オーケストラの楽器の音域を当てはめると、だいたい次のようになります。

*コントラバスには、標準的な4弦とさらに音域の広いオーケストラ向きの5弦があり、上の図では5弦の音域を表示しています。
上の図からわかるように、オーケストラ曲の多くは、ピアノ1台で表現することができます。
だから、「ピアノ1台で100人分のオーケストラ」なのです。
🎹
第二に、ピアノは1台で、音楽の3要素であるリズム(拍子)、メロディ(旋律)、ハーモニー(和音、和声)のいずれも表現できることです。
たとえば、右手でメロディ(主旋律)を奏でながら、左手で伴奏(リズム、ハーモニー)をすることができます。
ピアノでは、そのなかでも特にハーモニー(和音)の表現は、際立っています。ハーモニー(和音)は、複数の音を同時に響かせ曲のイメージを膨らませてくれます。
楽器の中で、3音以上のハーモニー(和音)を表せるのは、ピアノのほかには、ギター(およびそれに類する楽器、例えばウクレレなど)とハープくらいでしょうか。
楽器の構造から和音が表現できるものは限られているのです。
*和音:複数の音が同時に響くこと。
和声:上記の和音が複数つながっていること。

次の楽譜は、ベートーヴェンの「ロマンスヘ長調」です。この曲は元々バイオリンと管弦楽のための曲ですが、ピアノ伴奏版が広く知られていてこれはその楽譜です。つまり、ピアノが管弦楽団(オーケストラ)の役割を果たしているのです。
バイオリンが奏でる美しい主題(テーマ)を、ピアノの豊かなハーモニー(和音)が一層引き立たせています。

*上記の楽譜:“向山弦楽器塾”のヴァイオリン コンサートピース楽譜倉庫(著作権の切れたimslpの楽譜を無料でダウンロードする事が出来ます)よりダウンロードして加工、掲載しました。
一説によると、私たちは一定のハーモニーを聴くと、脳の報酬系が活性化し、ドーパミンが分泌され快感や幸福感を引き起こすと言われています。
そして、和音の響きが曲の表情を豊かにし、私たちの心に音楽ならではの感情を呼び起こすのです。
つまりピアノの演奏では、その特徴を十分に生かして、和音を美しく、あるいは力強く響かせることが大切なのです。
目黒不動前 田園調布のピアノ教室 - Vela Piano Studio – お近くのスタジオでピアノのレッスンを